2017年8月30日水曜日

足元に目を向けて


里山尾根の端は、
小峰公園で最も高い場所。

そこから桜尾根へ続く階段で、
こんな生きものを見つけました。


林の中でよく目立つ、真っ赤なキノコ。
動きは少ないですが、これも立派な生きものです。

何もないところから生えてきたように思えますが、
じつはずっと地面の下で、束ねた糸のような姿の「菌糸」として
生活していました。



キノコの柄が、袋状の白い膜(これを「つぼ」と呼びます)を
突き破って伸びています。
まるで、卵からキノコが生まれたように見えますね。

そのような理由から、
このキノコは「タマゴタケ」と呼ばれています。


 
地面の下の「菌糸」は周囲の樹木の根を覆い、
樹木が光合成をしてつくった炭水化物を吸収します。

ですが、菌糸は一方的に栄養分を受け取るだけではなく
水分や栄養分を吸収し、樹木の根に渡す…
といった役割も担っています。

これは、お互いに利益を与えあう「ギブ&テイク」
と例えることができるでしょう。

このような関係性を「共生」といいます。

 
このキノコが大きく成長できたのも、
菌糸と樹木の共生があってこそですね。

なにより、人通りがある階段でも
踏まれずにここまで大きく成長できたなんて…

この階段を行き来する人々の、
足元の小さな生きものに対する
思いやりを感じました。


(宮嶋レンジャー)

※今回使用した写真は2017年8月20日に撮影されたものです。
現在の状況とは異なる場合がございます。